Members only - Feature KEYAKI No.51
細田 守 氏 独占インタビュー

杉浦
細田さん初めまして。お会いできて光栄です。本日は、お忙しいところインタビューを受けて頂き、ありがとうございます。限られた時間の中ですが、全国の同窓生に伝わる充実した内容をお聞きしていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願い致します。
細田
はい、よろしくお願いします。
同窓生、母校愛を語る。
杉浦
なんだかんだ金美出身者って、みんな美大が好きですよね。
細田
そうだね。
杉浦
金美出身の有名な方のインタビュー記事とかでも、「金沢美術工芸大学出身で」っていう前置きがわざわざあったりするじゃないですか。やっぱり言いたくなるのかなって。
細田
僕は比較的言っている方だけど、言わない人も居る。人それぞれだよね。大学に行ったことで良かったことは? って聞かれたら、いちおう良かったこと言うけど、実は後悔してるっていう話だってなくはない(笑)。
杉浦
後悔したこと、ありますか?(笑)。
細田
もちろん、不満が無いわけじゃないですよ。金沢美大のまず何が不満かって、東京から遠いっていうのがね。
杉浦
あ、僕は在学中に新幹線が通ったんで。
細田
あー。
杉浦
三年生ぐらいの時でしたね確か。
山戸
就活とかも、新幹線に乗って行ってましたし。
細田
僕たちの時は、急行能登で行くしかなくて。知らないでしょ、急行能登?
杉浦
わかんないです(笑)
細田
急行能登って、当時一番安く東京まで行ける方法で、周遊券で10,000円と少し。学割使って9,000円くらいだったかな? 深夜急行で10時間ほどかけて上野まで行くっていう。だって今、新幹線乗ったら片道14,000円くらい? 今の人はお金に余裕があるね。
山戸
でも開通する前は、夜行バスで行ってましたね。
細田
そうか。急行能登の代わりが夜行バスだ。
山戸
5,000円ぐらいで行ってました。
細田
わっ、こっちのほうが安いね(笑)。

入学を決めた、意外なきっかけ。
杉浦
では改めまして、アニメーション映画監督でもあり、我々の大先輩である細田さんに最初の質問です。そんな金沢美大に入学を決めた一番のきっかけを教えてください。
細田
うーん、きっかけは、出身の富山県から近かったからですよ。後は……、 受かったからじゃないですかね(笑)。実は第一志望は芸術学部のある某国立大学で、そこに行きたかったけど、2次試験のデッサンで落ちた(笑)。
杉浦
信じられないですね。
細田
それで金沢美大の油絵科に行くことになるっていう。
山戸
私はてっきり、絵のスキルを高めるために金美の油画に行かれたのかなって勝手に解釈していました。
細田
油絵科は、いろんな美大の中でも一番絵が上手い奴が行く科目、みたいな認識があったので、「俺なんかどうせ受かんない」みたいに畏れる気持ちと、「俺ぐらいなら受かって当然だろう」みたいな自信と、両方あったんです。
杉浦
僕ら二人は、石川県出身なので進路を決める前から、昔からよく美大の存在は知っていて、凄い学校だなって感覚がありましたよ。金美ブランドというか(笑)。
細田
金沢出身の方はそう思いますよね。それに比べたら、他県の自分は、そこまで金沢美大のことをよく知らないで受験してしまった気はしますね 。ところで、杉浦さんは、なぜ芸術学を選んだの?
杉浦
僕がそもそも美大に入ったのは広告をやりたかったからなんですね。確か高校生で、ちょうど進学先を考えていた時に、東日本大震災があって。それでCMとかが自粛されてたことがあったと思うんですけど、暫くしてから、日本を応援して元気づけるようなコンセプトの広告が沢山生まれたことに、感銘を受けたことがきっかけだったかも知れません。
細田